在宅介護16年の闘い。

要介護4の父をリアル在宅介護してきた約16年を振り返る日常

クリーニング【染料と顔料の違いって何?衣類の染色について学ぼう!】

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皆さん、こんにちは。^^

先日の「衣類の色落ちについて学ぼう!」の記事が予想以上に好評だったので、今回は少し染色についてさらに深堀してみようと思います。

「染料と顔料って何が違うの?同じじゃないの?」

ちょっとマニアックな内容ですが、知っておくと洋服を買う際や洗濯の際に役に立つ知識だと思います!

先日の記事では染料の違いについて紹介してみました。 

今回は、そもそもの染める材料の違い「染料」と「顔料」について衣類やクリーニングの視点で紹介していこうと思います。

【染料と顔料の違いって何?】

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どちらも衣類が色に染まる点では同じですが、その染まり方・染まる仕組みが違うという事です。

◎染料で染める

染料で染めるメカニズムは、2つの種類があります。

  1. 直接染料:水に溶かして「直接」素材を染める方法。
  2. 反応染料:染料と素材を化学反応で固着させて染める方法。

解り易く言うと、どちらも繊維の内部まで色を染み込ませる方法です。

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※画像は東京都立産業技術研究センターより引用

◎顔料で染める

顔料とは色の付いた細かい粒子状の物質を樹脂(接着剤)の力をかりて繊維の表面に接着させることで染める方法です。

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 ※画像は東京都立産業技術研究センターより引用

◎ポイント!

染料で染める ➡ 分子レベルで染める方法!

顔料で染める ➡ 粒子で染める方法!

※イメージ図

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【それぞれの特徴を簡単に説明!】

◎染料の特徴

染料は繊維の奥まで色を染み込ませて適切な加工を施す事で、家庭での日常洗濯やクリーニングを行っても基本的には色が落ちにくい安定性を保っています。

ですが、もちろん何度も何度も洗濯を繰り返したり強い紫外線に長時間当たったりすると当然色落ちや変色の原因となります。

◎顔料の特徴

顔料は繊維に樹脂(接着剤)を使用している状態のために、何かの作用(経年劣化・洗濯方法等)によって顔料が剥がれてしまう事があります、これが「色落ち」として表面化してしまいます。

【顔料染色について詳しく学ぼう!】

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顔料染色は樹脂(接着剤)を使用して衣類を染色すると説明しました。

この樹脂(接着剤)が、めちゃくせ者なんです!

この樹脂にはポリウレタンが使用されている為に、ドライクリーニング(石油系溶剤等を使用)をすることで樹脂が溶け出してしまったり、顔料自体が剥がれ落ちてしまうトラブルになります。

◎ポリウレタンって何?

以前にもポリウレタン素材に関する記事を紹介しました、ここ最近では消費者の間にもポリウレタン素材へに知識・認識も増えているように思います。 

 肌感でもここ最近の衣類でポリウレタンが使用されていない物の方が少なくない?と思えるぐらいです。

  • ストレッチ加工に使用されている糸
  • コートなどの生地を張り合わせる為の接着樹脂(ボンディング加工)
  • 生地に特徴を出す為のコーティング加工
  • 合皮・人工皮革(ポリウレタン表面加工)

など比較的身近な衣類に使用されています、お手持ちの洋服でもストレッチ素材のものがたくさんありますよね?

◎特定の色だけが色落ちしてしまうトラブル

実際の染色工程では、複数の色を混ぜて色を作ることになります。

顔料染色の場合は、ドライクリーニングなどの処理をする事で特定の色だけが落ちてしまい「変色」と言う結果でトラブルになってしまいます。

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いろいろな色を混ぜて染色された茶色の生地をドライクリーニングした結果、赤系の色だけが抜けてしまい緑色系へと変色してしまった事例です。

顔料染色製品は、ドライクリーニングによって変則的な色落ちを起こし変色してしまうという認識が必要になってきます。

※これはお店側の認識ですね。

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◎メーカー側のテストや知識不足も原因の1つ!

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製品として消費者の手元に洋服が届くまでには、当然メーカー側でもテストや検査が行われています。そのはずです

ですが現実問題として、染色不良で色落ちしたりクリーニングすることによって破損・変質・変色してしまう事例も決して少なくありません。

うちでも、お客様の商品の洗濯表示を参考にして洗いますが100%は信じていません。これまでの知識や経験則での判断もとても重要です。

以前に、極端に色落ちが激しかったトレーナーがあり、メーカーへ問い合わせた事があります。

メーカー側の言い分では、

  • 適正な〇〇規格の検査を合格している
  • 会社の基準は満たしている
  • 品質テストは適正に行われている
  • いざ返品された商品を検査するとなると、数か月もかかる

などと、とにかく簡単に折れる事はまずないです。

「現実問題、乾燥してる状態の衣類が少し擦れたぐらいで色が移る状態なんて着れませんよね!しかも有名ブランドです。」

消費者の皆さんはあまり確認しないと思いますが、洋服には洗濯表示や品質表示、注意書き等のタグがたくさんついていますよね?

これには大事な情報や、メーカー側がクレームに対応する為に必要事項がきちんと記載されています。

➡ ポイント!

衣類のタグにはクリーニング屋が必要な(参考とする)情報が記載されているので、できるだけカットしないで下さいね。

◎顔料染色の特性を理解しておく!

このように、顔料染色にはさまざまな問題点が含まれています。

それでもメーカーが顔料を使うのはなんでかな?

それはメーカー側が、消費者に「経年の風合いや、色落ちを楽しんでもらう。」という意図もあるとのことです。

ですが、この事が上手く消費者に伝わってないと結果的にどこかでトラブルになってしまいますね。

洋服の選び方や衣類や素材の選び方は人それぞれで楽しみ方もさまざまです。

【まとめ】

今回は少し難しい内容になってしまいました、染料や顔料についてもクリーニング屋目線での解説になりましたので、他業種の方から見ると異なる視点もあるかと思います。

洋服を購入する際、白色以外の洋服はいずれにせよ何かしらの染色作業がされている事になります。

  • 着用➡洗濯を繰り返しての、色落ち風合いを楽しむ!
  • 染色方法や処理、品質テストのずさんな結果で不良品も存在する!
  • 洋服はいつまでも買ったままの状態で着れるわけではない!

消費者の皆さんにも少しの知識を持って頂くことで、消費者とメーカー間のトラブル、消費者とクリーニング店間のトラブルが少なくなればと思い記事にしてみました。

今回の記事が洗濯トラブルのお役に立てればと思います。^^

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