皆さん、こんにちは。^^
今回は寒い季節に大活躍する軽くて暖かいダウンジャケットについての基礎知識や取り扱いについて、プロのクリーニング師目線でお話したいと思います!
少し難しい部分もあると思いますが、できるだけ普段の暮らしで役立つレベルで「なんで?」が解消されるように解説したいと思います。
今年は特に寒い冬だったので、ダウン類が活躍したと思います。
以前に、「ユニクロのウルトラライトダウンを自宅で洗う方法!」という記事を書いて、たくさんの方々からアクセスをして頂きました。
⇩こちらもご覧いただければと思います⇩
※各クリーニング店によって洗濯方法や取り扱いが違うと思いますので、今回はうちの店の場合としてこれまでの経験則や知識を公開したいと思います。
【中に入ってるダウンとフェザーって何?】
皆さんが着ているダウンジャケットの品質表示タグを見てみると、ダウン80%・フェザー20%などと書かれていると思います。
- ダウンとは ➡ 水鳥の胸部分のふわふわの綿毛です
- フェザーとは ➡ 水鳥の羽根部分で軸があり細長い形をしています
◎ダウンとフェザーには価格に違いがあります!
結論から言うと、ダウンは高い!フェザーは安い!いう事になります。
その理由は取れる量の違いで、1羽の水鳥から取れるダウンは約25gに対してフェザーは約60gと言われています。
もちろん、ダウンやフェザーそのものにも品質には大きな幅があります。
ダウンジャケット、ダウンベスト、ダウンコート、羽毛布団などなど、お手頃に買えるものから庶民が買えないような超高級な物まであります。
このブログでも以前から登場していた富裕層のお客様宅で使用している羽毛布団は、なんと1点で250万円超と聞いていました!(消費税で25万ですよ!)
さすがにこちらの羽毛布団はうちではクリーニングさせて頂いてません。笑
そんなんどこに売ってんの!?と思いますよね?デパートの外商の方がちゃんと手配して届けてくれるそうです。庶民の知らない富裕層の世界。笑
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【これまでの経験則や品質の違いについて!】
ここからはクリーニング屋歴約20年の経験で、これまでに取り扱ってきたダウンについてお話します。
一般的にダウンジャケットと言っても価格に大きな差がありますよね?
- ユニクロ等の数千円のもの
- 一般ブランド等の数万円のもの
- 高級ブランドの数十万円以上するもの
じゃあこの値段の違いって何?ってなりますよね。
◎価格の違いは品質の違い!
やはり一番大きな違いは、内側に入っているダウンやフェザーの品質の違いになります。
- 高価なダウン ➡ 最高級のグース(ガチョウ)の羽毛が使用されています
- 安価なダウン ➡ 一般的なダック(アヒル)の羽毛が使用されています
※ダウンとフェザーの配合割合によっても価格が違います。
➡ ポイント!
高級なダウンになればなるほど、ダウンを素材の段階で加工する際の洗浄・精製の工程にとても多くの時間と手間をかけることになります。
もともと高級な素材をさらに手をかけて加工するので価格が上がってしまうんですね。
安価なダウンジャケットや羽毛布団を長い間使っていると・・
「ん?なんだか臭いな?獣臭みたいな・・」
「雨に濡れてかけて置いたら嫌な臭いがする・・」
こんな経験はありませんか?自分はあります。笑
それは、このダウンやフェザーの品質だったり加工の段階できちんと洗浄や精製されていない事が原因の1つかなと思います。
本来動物の毛なので、経年劣化や長年愛用しているとある程度の臭いがしてくる事を知っておいて下さいね。
高級ダウンの他の良い点を挙げると、
- 作りや縫製がしっかりしている
- 本体の素材自体に付加価値を付けているもの
などがあります。
【シームレスダウンを買う際にご注意!】
皆さん、シームレスダウンをご存じでしょうか?
ここ数年でユニクロでも販売されており、認知度も広がってきてるように思います。
シームレスダウンにも、1万円前後のものから10万円以上する高級な物もあります。
シームレスとは ➡ シーム(縫い目)レス(無い)=縫い目がないという事です。
じゃあどうやって、あのモコモコ(キルティング)作ってんの?となりますね。
それは、継ぎ目の部分を圧着(接着)して作られているからです!
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◎シームレスダウンのメリット!
- 縫い目や継ぎ目がないので、中のダウンやフェザーが外へ出てきにくい
- 縫製による穴がない為、機密性が高くとても暖かい
通常のダウンは着ていると白い羽毛が抜けてきたり、車のシートに着いたりしますよね。。
◎シームレスのデメリット!
クリーニング屋としては、こちらのデメリットを是非知っておいて頂きたいです。
継ぎ目がなくて暖かいなら、全部シームレスダウンで良いやん?と思いますよね。
ですが、一番のデメリットがこの接着によるシームレス加工になります。
この圧着(接着)加工にはポリウレタン樹脂が使用されており、この樹脂接着剤が2~3年で経年劣化を起こす可能性があります。
以前にポリウレタン素材の劣化についても記事を書いてますので、宜しければご覧ください。
製品の経年劣化等の説明については、内側の品質表示にきちんと書かれています。
とは言っても、そんな小さい説明書き読んでから買う人なかなか居ませんよね。
だからと言って、きっちり2~3年でダメになるというわけでもありません。
温度・湿度・保管方法・着用頻度などで、何年も長くもったり早くダメになったりもします。
➡ 知って欲しいポイント!
- シームレスダウンは購入価格に関わらず、長い間着る事ができない可能性がある!
- クリーニングに出す際、料金が割増されたり断られる可能性もある!
- メルカリ、ヤフオク等で型落ちモデルの購入の際は見えない経年劣化を考慮しておく!
とくに十万円以上もするような高級なシームレスダウンを買う際には、デメリットをしっかり理解された上でご検討頂ければと思います。
高い値段だったからといって長持ちするとは限りません!
【あとがき】
今回は皆さんのご家庭にも1着はあるのかな?と思うダウンジャケットについてお話しました。
一般的なダウンから高級ダウンまでとざっくり説明しましが、それぞれのブランドによっても特徴が異なったりします。
大切なダウンをクリーニングに出される際には、お店の方ときちんと相談されてから出す事をお薦めします。
- 長い間クリーニングしてない場合、洗う事で獣臭が目立つようなったりします。
- 経年劣化したシームレスダウンは、洗う事で接着が剥がれてデザインが崩れてしまう事があります。
- 古いダウンは、洗う事で生地の劣化や色が多少変化する事もあります。
- 品質の悪いダウン等は、洗う事で汚れが表面に出てきます。
などなどたくさんありますが、大事な点はお店とお客様の間でしっかり納得してからクリーニングをする事が一番大事だと思います。
お客様の大切な洋服が綺麗になってお渡しする時に喜んで頂けるのがクリーニング屋が一番嬉しい時ですからね。^^
今回の記事を少しでもお役に立てればと思います。
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